くまくまψ関数[1]はKanrokotiが2020年10月7日に公開したくまくま3変数ψ[2]および、2020年10月10日に公開したくまくま4変数ψ[3]の総称である[1]。
くまくまψ関数はp進大好きbot氏による拡張Buchholz OCFに伴う順序数表記の定義を元に、標準形の定義を省いた形で定義されている。したがって元の定義とは異なり、順序数表記ではなくなっている[2]。くまくまψ関数は拡張ブーフホルツOCFの可算限界を超えると期待されるもので、実際に定義が与えられた数少ない表記の内の1つである[1]。
Kanrokotiは2022年9月8日にくまくま3変数ψの定義を書き直したものを公開した[4]。書き直された定義では、旧定義と比べて厳密性や可読性が向上している。なお、このページでは旧定義版を扱う。
重要性[]
くまくまψ関数は拡張Buchholz OCFに伴う順序数表記を精密な方法で拡張するように作られている。また、くまくまψ関数は解析にも使いやすいような設計となっている。特に、拡張ブーフホルツ順序数を超えて解析する際に用いると良い表記の一つである。以下は、くまくまψ関数の利点の例である:
- くまくまψ関数は加法ベースの表記のため、解析に用いやすい。これは、ほとんどの巨大数表記もまた加法ベースの表記であるためである。
- くまくまψ関数は拡張ブーフホルツのψ関数(に伴う順序数表記)と互換性があるため、拡張ブーフホルツのψ関数による解析で限界が来た場合、この表記を使って引き続き解析を続けることが可能である。
- くまくまψ関数が用いる関数記号はψと+のみ、定数は0のみのため、他の表記に比べその強さの割にシンプルである。
- Rathjen's ψ functionを用いて、くまくま3変数ψは\(\psi_{\chi_0(0)}(\psi_{\chi_{2}(0)}(0))\)に到達することが予想されており、くまくま4変数ψは\(\psi_{\chi_0(0)}(\psi_{\chi_{3}(0)}(0))\)に到達することが予想されている。
- くまくまψ関数は様々な方法で拡張することができる。[5][6][7]
くまくま3変数ψ[]
EBOCFは2変数関数であるが、本表記はψ_A(B)=ψ_0(A,B)のような形でそれを3変数に拡張したものである。
表記[]
ここでは、表記に用いる文字列を定める。
0とψ_と(と)と+と,のみからなる文字列の集合Tとその部分集合PTを、以下のように再帰的に定める:
- 1. 0∈Tである。
- 2. いかなるX_1,X_2,X_3∈Tに対しても、ψ_{X_1}(X_2,X_3)∈Tかつψ_{X_1}(X_2,X_3)∈PTである。
- 3. いかなるX_1,...,X_m∈PT (2≦m<∞)に対しても、X_1+...+X_m∈Tである。
0を$0と略記し、ψ_0(0,0)∈Tを$1と略記し、1より大きい各非負整数nに対し$1+...+$1∈T ($1がn個)を$nと略記し、ψ_0(0,$1)∈Tを\($\omega\)と略記する。
順序[]
ここでは、表記間の大小関係を定義する。
X,Y∈Tに対し、2項関係X<Yを以下のように再帰的に定める:
- 1. もしX=0ならば、X<YはY≠0と同値である。
- 2. ここでX=ψ_{X_1}(X_2,X_3)を満たすX_1,X_2,X_3∈Tが存在するとする。
- 2-1. もしY=0ならば、X<Yは偽である。
- 2-2. ここでY=ψ_{Y_1}(Y_2,Y_3)を満たすY_1,Y_2,Y_3∈Tが存在するとする。
- 2-2-1. もしX_1=Y_1かつX_2=Y_2ならば、X<YはX_3<Y_3と同値である。
- 2-2-2. もしX_1=Y_1かつX_2≠Y_2ならば、X<YはX_2<Y_2と同値である。
- 2-2-3. もしX_1≠Y_1ならば、X<YはX_1<Y_1と同値である。
- 2-3. もしY=Y_1+...+Y_{m'}を満たすY_1,...,Y_{m'}∈PT (2≦m'<∞)が存在するならば、
- X<YはX=Y_1またはX<Y_1と同値である。
- 3. ここでX=X_1+...+X_mを満たすX_1,...,X_m∈PT (2≦m<∞)が存在するとする。
- 3-1. もしY=0ならば、X<Yは偽である。
- 3-2. もしY=ψ_{Y_1}(Y_2,Y_3)を満たすY_1,Y_2,Y_3∈Tが存在するならば、X<YはX_1<Yと同値である。
- 3-3. ここでY=Y_1+...+Y_{m'}を満たすY_1,...,Y_{m'}∈PT (2≦m'<∞)が存在するとする。
- 3-3-1. ここでX_1=Y_1とする。
- 3-3-1-1. もしm=2かつm'=2ならば、X<YはX_2<Y_2と同値である。
- 3-3-1-2. もしm=2かつm'>2ならば、X<YはX_2<Y_2+...+Y_{m'}と同値である。
- 3-3-1-3. もしm>2かつm'=2ならば、X<YはX_2+...+X_m<Y_2と同値である。
- 3-3-1-4. もしm>2かつm'>2ならば、X<YはX_2+...+X_m<Y_2+...+Y_{m'}と同値である。
- 3-3-2. もしX_1≠Y_1ならば、X<YはX_1<Y_1と同値である。
共終数[]
ここでは、共終数という概念を定義する。
全域再帰的写像 \begin{eqnarray*} \textrm{dom} \colon T & \to & T \\ X & \mapsto & \textrm{dom}(X) \\ \end{eqnarray*} を以下のように再帰的に定める:
- 1. もしX=0ならば、dom(X)=0である。
- 2. ここでX=ψ_{X_1}(X_2,X_3)を満たすX_1,X_2,X_3∈Tが存在するとする。
- 2-1. ここでdom(X_3)=0とする。
- 2-1-1. ここでdom(X_2)=0とする。
- 2-1-1-1. もしdom(X_1)=0またはdom(X_1)=$1ならば、dom(X)=Xである。
- 2-1-1-2. もしdom(X_1)≠0,$1ならば、dom(X)=dom(X_1)である。
- 2-1-2. もしdom(X_2)=$1ならば、dom(X)=Xである。
- 2-1-3. ここでdom(X_2)≠0,$1とする。
- 2-1-3-1. もしdom(X_2)<Xならば、dom(X)=dom(X_2)である。
- 2-1-3-2. そうでないならば、dom(X)=\($\omega\)である。
- 2-2. もしdom(X_3)=$1またはdom(X_3)=\($\omega\)ならば、dom(X)=\($\omega\)である。
- 2-3. ここでdom(X_3)≠0,$1,\($\omega\)とする。
- 2-3-1. もしdom(X_3)<Xならば、dom(X)=dom(X_3)である。
- 2-3-2. そうでないならば、dom(X)=\($\omega\)である。
- 3. もしX=X_1+...+X_mを満たすX_1,...,X_m∈PT (2≦m<∞)が存在するならば、dom(X)=dom(X_m)である。
基本列[]
ここでは、基本列という概念を先で定義した共終数を用いて定義する。
全域再帰的写像 \begin{eqnarray*} [ \ ] \colon T \times T & \to & T \\ (X,Y) & \mapsto & X[Y] \end{eqnarray*} を以下のように再帰的に定める:
- 1. もしX=0ならば、X[Y]=0である。
- 2. ここでX=ψ_{X_1}(X_2,X_3)を満たすX_1,X_2,X_3∈Tが存在するとする。
- 2-1. ここでdom(X_3)=0とする。
- 2-1-1. ここでdom(X_2)=0とする。
- 2-1-1-1. もしdom(X_1)=0ならば、X[Y]=0である。
- 2-1-1-2. もしdom(X_1)=$1ならば、X[Y]=Yである。
- 2-1-1-3. もしdom(X_1)≠0,$1ならば、X[Y]=ψ_{X_1[Y]}(X_2,X_3)である。
- 2-1-2. もしdom(X_2)=$1ならば、X[Y]=Yである。
- 2-1-3. ここでdom(X_2)≠0,$1とする。
- 2-1-3-1. もしdom(X_2)<Xならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2[Y],X_3)である。
- 2-1-3-2. そうでないならば、dom(X_2)=ψ_{P}(Q,0) (P,Q∈T)とおく。
- 2-1-3-2-1. ここでQ=0とする。
- 2-1-3-2-1-1. もしY=$h (1≦h<∞)かつX[Y[0]]=ψ_{X_1}(Γ,X_3)となるΓ∈Tが
- 一意に存在するならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2[ψ_{P[0]}(Γ,0)],X_3)である。
- 2-1-3-2-1-2. そうでないならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2[ψ_{P[0]}(Q,0)],X_3)である。
- 2-1-3-2-2. ここでQ≠0とする。
- 2-1-3-2-2-1. もしY=$h (1≦h<∞)かつX[Y[0]]=ψ_{X_1}(Γ,X_3)となるΓ∈Tが
- 一意に存在するならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2[ψ_{P}(Q[0],Γ)],X_3)である。
- 2-1-3-2-2-2. そうでないならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2[ψ_{P}(Q[0],0)],X_3)である。
- 2-2. ここでdom(X_3)=$1とする。
- 2-2-1. もしY=$1ならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[0])である。
- 2-2-2. もしY=$k (2≦k<∞)ならば、
- X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[0])+...+ψ_{X_1}(X_2,X_3[0]) (ψ_{X_1}(X_2,X_3[0])がk個)である。
- 2-2-3. そのいずれでもないならば、X[Y]=0である。
- 2-3. もしdom(X_3)=$ωならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[Y])である。
- 2-4. ここでdom(X_3)≠0,$1,$ωとする。
- 2-4-1. もしdom(X_3)<Xならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[Y])である。
- 2-4-2. そうでないならば、dom(X_3)=ψ_{P}(Q,0) (P,Q∈T)とおく。
- 2-4-2-1. ここでQ=0とする。
- 2-4-2-1-1. もしY=$h (1≦h<∞)かつX[Y[0]]=ψ_{X_1}(X_2,Γ)となるΓ∈Tが
- 一意に存在するならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[ψ_{P[0]}(Γ,0)])である。
- 2-4-2-1-2. そうでないならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[ψ_{P[0]}(Q,0)])である。
- 2-4-2-2. ここでQ≠0とする。
- 2-4-2-2-1. もしY=$h (1≦h<∞)かつX[Y[0]]=ψ_{X_1}(X_2,Γ)となるΓ∈Tが
- 一意に存在するならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[ψ_{P}(Q[0],Γ)])である。
- 2-4-2-2-2. そうでないならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[ψ_{P}(Q[0],0)])である。
- 3. ここでX=X_1+...+X_mを満たすX_1,...,X_m∈PT (2≦m<∞)が存在するとする。
- 3-1. もしX_m[Y]=0かつm=2ならば、X[Y]=X_1である。
- 3-2. もしX_m[Y]=0かつm>2ならば、X[Y]=X_1+...+X_{m-1}である。
- 3-3. もしX_m[Y]≠0ならば、X[Y]=X_1+...+X_{m-1}+X_m[Y]である。
巨大関数[]
ここでは、急増加関数を定義する。
全域再帰的写像 \begin{eqnarray*} f \colon T \times \mathbb{N} & \to & \mathbb{N} \\ (X,n) & \mapsto & f_X(n) \end{eqnarray*} を以下のように再帰的に定める:
- 1. もしX=0ならば、\(f_X(n) = n+1\)である。
- 2. もしX=$1またはX=Y+$1と表せられるY∈Tが存在するならば、\(f_X(n) = f_{X[0]}^n(n)\)である。
- 3. そのいずれでもないならば、\(f_X(n) = f_{X[$n]}(n)\)である。
巨大数[]
ここでは、巨大数を定義する。
全域再帰的写像 \begin{eqnarray*} g \colon \mathbb{N} & \to & PT \\ n & \mapsto & g(n) \end{eqnarray*} を以下のように再帰的に定める:
- 1. もしn=0ならば、\(g(n) = \psi_0(0,0)\)である。
- 2. そうでないならば、\(g(n) = \psi_{g(n-1)}(0,0)\)である。
全域写像 \begin{eqnarray*} F \colon \mathbb{N} & \to & \mathbb{N} \\ n & \mapsto & F(n) \end{eqnarray*} を\(F(n) = f_{\psi_0(0,g(n))}(n)\)と定める。
\(F^{10^{100}}(10^{100})\)を「くまくま3変数ψ数」と名付ける。
命名[]
ここでは、順序数に対して命名を行う。
\(\psi_0(0,\psi_{$2}(0,0))\)に対応する順序数をKBHO (Kuma-Bachmann–Howard Ordinal)と名付ける。
\(\psi_0(0,\psi_{$ω}(0,0))\)に対応する順序数をKBO (Kuma-Buchholz Ordinal)と名付ける。
表記の限界に対応する順序数をEKBO (Extended Kuma-Buchholz Ordinal)と名付ける。
くまくま4変数ψ[]
EBOCFは2変数関数であるが、本表記はψ_A(B)=ψ_0(0,A,B)のような形でそれを4変数に拡張したものである。
表記[]
ここでは、表記に用いる文字列を定める。
0とψ_と(と)と+と,のみからなる文字列の集合Tとその部分集合PTを、以下のように再帰的に定める:
- 1. 0∈Tである。
- 2. いかなるX_1,X_2,X_3,X_4∈Tに対しても、ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4)∈Tかつψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4)∈PTである。
- 3. いかなるX_1,...,X_m∈PT (2≦m<∞)に対しても、X_1+...+X_m∈Tである。
0を$0と略記し、ψ_0(0,0,0)∈Tを$1と略記し、1より大きい各非負整数nに対し$1+...+$1∈T ($1がn個)を$nと略記し、ψ_0(0,0,$1)∈Tを$ωと略記する。
順序[]
ここでは、表記間の大小関係を定義する。
X,Y∈Tに対し、2項関係X<Yを以下のように再帰的に定める:
- 1. もしX=0ならば、X<YはY≠0と同値である。
- 2. ここでX=ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4)を満たすX_1,X_2,X_3,X_4∈Tが存在するとする。
- 2-1. もしY=0ならば、X<Yは偽である。
- 2-2. ここでY=ψ_{Y_1}(Y_2,Y_3,Y_4)を満たすY_1,Y_2,Y_3,Y_4∈Tが存在するとする。
- 2-2-1. ここでX_1=Y_1とする。
- 2-2-1-1. もしX_2=Y_2かつX_3=Y_3ならば、X<YはX_4<Y_4と同値である。
- 2-2-1-2. もしX_2=Y_2かつX_3≠Y_3ならば、X<YはX_3<Y_3と同値である。
- 2-2-1-3. もしX_2≠Y_2ならば、X<YはX_2<Y_2と同値である。
- 2-2-2. もしX_1≠Y_1ならば、X<YはX_1<Y_1と同値である。
- 2-3. もしY=Y_1+...+Y_{m'}を満たすY_1,...,Y_{m'}∈PT (2≦m'<∞)が存在するならば、
- X<YはX=Y_1またはX<Y_1と同値である。
- 3. ここでX=X_1+...+X_mを満たすX_1,...,X_m∈PT (2≦m<∞)が存在するとする。
- 3-1. もしY=0ならば、X<Yは偽である。
- 3-2. もしY=ψ_{Y_1}(Y_2,Y_3,Y_4)を満たすY_1,Y_2,Y_3,Y_4∈Tが存在するならば、
- X<YはX_1<Yと同値である。
- 3-3. ここでY=Y_1+...+Y_{m'}を満たすY_1,...,Y_{m'}∈PT (2≦m'<∞)が存在するとする。
- 3-3-1. ここでX_1=Y_1とする。
- 3-3-1-1. もしm=2かつm'=2ならば、X<YはX_2<Y_2と同値である。
- 3-3-1-2. もしm=2かつm'>2ならば、X<YはX_2<Y_2+...+Y_{m'}と同値である。
- 3-3-1-3. もしm>2かつm'=2ならば、X<YはX_2+...+X_m<Y_2と同値である。
- 3-3-1-4. もしm>2かつm'>2ならば、X<YはX_2+...+X_m<Y_2+...+Y_{m'}と同値である。
- 3-3-2. もしX_1≠Y_1ならば、X<YはX_1<Y_1と同値である。
共終数[]
ここでは、共終数という概念を定義する。
全域再帰的写像 \begin{eqnarray*} \textrm{dom} \colon T & \to & T \\ X & \mapsto & \textrm{dom}(X) \\ \end{eqnarray*} を以下のように再帰的に定める:
- 1. もしX=0ならば、dom(X)=0である。
- 2. ここでX=ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4)を満たすX_1,X_2,X_3,X_4∈Tが存在するとする。
- 2-1. ここでdom(X_4)=0とする。
- 2-1-1. ここでdom(X_3)=0とする。
- 2-1-1-1. ここでdom(X_2)=0とする。
- 2-1-1-1-1. もしdom(X_1)=0またはdom(X_1)=$1ならば、dom(X)=Xである。
- 2-1-1-1-2. もしdom(X_1)≠0,$1ならば、dom(X)=dom(X_1)である。
- 2-1-1-2. もしdom(X_2)=$1ならば、dom(X)=Xである。
- 2-1-1-3. ここでdom(X_2)≠0,$1とする。
- 2-1-1-3-1. もしdom(X_2)<Xならば、dom(X)=dom(X_2)である。
- 2-1-1-3-2. そうでないならば、dom(X)=$ωである。
- 2-1-2. もしdom(X_3)=$1ならば、dom(X)=Xである。
- 2-1-3. ここでdom(X_3)≠0,$1とする。
- 2-1-3-1. もしdom(X_3)<Xならば、dom(X)=dom(X_3)である。
- 2-1-3-2. そうでないならば、dom(X)=$ωである。
- 2-2. もしdom(X_4)=$1またはdom(X_4)=$ωならば、dom(X)=$ωである。
- 2-3. ここでdom(X_4)≠0,$1,$ωとする。
- 2-3-1. もしdom(X_4)<Xならば、dom(X)=dom(X_4)である。
- 2-3-2. そうでないならば、dom(X)=$ωである。
- 3. もしX=X_1+...+X_mを満たすX_1,...,X_m∈PT (2≦m<∞)が存在するならば、dom(X)=dom(X_m)である。
基本列[]
ここでは、基本列という概念を先で定義した共終数を用いて定義する。
全域再帰的写像 \begin{eqnarray*} [ \ ] \colon T \times T & \to & T \\ (X,Y) & \mapsto & X[Y] \end{eqnarray*} を以下のように再帰的に定める:
- 1. もしX=0ならば、X[Y]=0である。
- 2. ここでX=ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4)を満たすX_1,X_2,X_3,X_4∈Tが存在するとする。
- 2-1. ここでdom(X_4)=0とする。
- 2-1-1. ここでdom(X_3)=0とする。
- 2-1-1-1. ここでdom(X_2)=0とする。
- 2-1-1-1-1. もしdom(X_1)=0ならば、X[Y]=0である。
- 2-1-1-1-2. もしdom(X_1)=$1ならば、X[Y]=Yである。
- 2-1-1-1-3. もしdom(X_1)≠0,$1ならば、X[Y]=ψ_{X_1[Y]}(X_2,X_3,X_4)である。
- 2-1-1-2. もしdom(X_2)=$1ならば、X[Y]=Yである。
- 2-1-1-3. ここでdom(X_2)≠0,$1とする。
- 2-1-1-3-1. もしdom(X_2)<Xならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2[Y],X_3,X_4)である。
- 2-1-1-3-2. そうでないならば、dom(X_2)=ψ_{P}(Q,R,0) (P,Q,R∈T)とおく。
- 2-1-1-3-2-1. ここでR=0とする。
- 2-1-1-3-2-1-1. ここでQ=0とする。
- 2-1-1-3-2-1-1-1. もしY=$h (1≦h<∞)かつX[Y[0]]=ψ_{X_1}(Γ,X_3,X_4)
- となるΓ∈Tが一意に存在するならば、
- X[Y]=ψ_{X_1}(X_2[ψ_{P[0]}(Γ,0,0)],X_3,X_4)である。
- 2-1-1-3-2-1-1-2. そうでないならば、
- X[Y]=ψ_{X_1}(X_2[ψ_{P[0]}(Q,R,0)],X_3,X_4)である。
- 2-1-1-3-2-1-2. ここでQ≠0とする。
- 2-1-1-3-2-1-2-1. もしY=$h (1≦h<∞)かつX[Y[0]]=ψ_{X_1}(Γ,X_3,X_4)
- となるΓ∈Tが一意に存在するならば、
- X[Y]=ψ_{X_1}(X_2[ψ_{P}(Q[0],Γ,0)],X_3,X_4)である。
- 2-1-1-3-2-1-2-2. そうでないならば、
- X[Y]=ψ_{X_1}(X_2[ψ_{P}(Q[0],R,0)],X_3,X_4)である。
- 2-1-1-3-2-2. ここでR≠0とする。
- 2-1-1-3-2-2-1. もしY=$h (1≦h<∞)かつX[Y[0]]=ψ_{X_1}(Γ,X_3,X_4)
- となるΓ∈Tが一意に存在するならば、
- X[Y]=ψ_{X_1}(X_2[ψ_{P}(Q,R[0],Γ)],X_3,X_4)である。
- 2-1-1-3-2-2-2. そうでないならば、
- X[Y]=ψ_{X_1}(X_2[ψ_{P}(Q,R[0],0)],X_3,X_4)である。
- 2-1-2. もしdom(X_3)=$1ならば、X[Y]=Yである。
- 2-1-3. ここでdom(X_3)≠0,$1とする。
- 2-1-3-1. もしdom(X_3)<Xならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[Y],X_4)である。
- 2-1-3-2. そうでないならば、dom(X_3)=ψ_{P}(Q,R,0) (P,Q,R∈T)とおく。
- 2-1-3-2-1. ここでR=0とする。
- 2-1-3-2-1-1. ここでQ=0とする。
- 2-1-3-2-1-1-1. もしY=$h (1≦h<∞)かつX[Y[0]]=ψ_{X_1}(X_2,Γ,X_4)
- となるΓ∈Tが一意に存在するならば、
- X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[ψ_{P[0]}(Γ,0,0)],X_4)である。
- 2-1-3-2-1-1-2. そうでないならば、
- X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[ψ_{P[0]}(Q,R,0)],X_4)である。
- 2-1-3-2-1-2. ここでQ≠0とする。
- 2-1-3-2-1-2-1. もしY=$h (1≦h<∞)かつX[Y[0]]=ψ_{X_1}(X_2,Γ,X_4)
- となるΓ∈Tが一意に存在するならば、
- X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[ψ_{P}(Q[0],Γ,0)],X_4)である。
- 2-1-3-2-1-2-2. そうでないならば、
- X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[ψ_{P}(Q[0],R,0)],X_4)である。
- 2-1-3-2-2. ここでR≠0とする。
- 2-1-3-2-2-1. もしY=$h (1≦h<∞)かつX[Y[0]]=ψ_{X_1}(X_2,Γ,X_4)となるΓ∈Tが
- 一意に存在するならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[ψ_{P}(Q,R[0],Γ)],X_4)である。
- 2-1-3-2-2-2. そうでないならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3[ψ_{P}(Q,R[0],0)],X_4)である。
- 2-2. ここでdom(X_4)=$1とする。
- 2-2-1. もしY=$1ならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4[0])である。
- 2-2-2. もしY=$k (2≦k<∞)ならば、
- X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4[0])+...+ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4[0])
- (ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4[0])がk個)である。
- 2-2-3. そのいずれでもないならば、X[Y]=0である。
- 2-3. もしdom(X_4)=$ωならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4[Y])である。
- 2-4. ここでdom(X_4)≠0,$1,$ωとする。
- 2-4-1. もしdom(X_4)<Xならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4[Y])である。
- 2-4-2. そうでないならば、dom(X_4)=ψ_{P}(Q,R,0) (P,Q,R∈T)とおく。
- 2-4-2-1. ここでR=0とする。
- 2-4-2-1-1. ここでQ=0とする。
- 2-4-2-1-1-1. もしY=$h (1≦h<∞)かつX[Y[0]]=ψ_{X_1}(X_2,X_3,Γ)となるΓ∈Tが
- 一意に存在するならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4[ψ_{P[0]}(Γ,0,0)])である。
- 2-4-2-1-1-2. そうでないならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4[ψ_{P[0]}(Q,R,0)])である。
- 2-4-2-1-2. ここでQ≠0とする。
- 2-4-2-1-2-1. もしY=$h (1≦h<∞)かつX[Y[0]]=ψ_{X_1}(X_2,X_3,Γ)となるΓ∈Tが
- 一意に存在するならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4[ψ_{P}(Q[0],Γ,0)])である。
- 2-4-2-1-2-2. そうでないならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4[ψ_{P}(Q[0],R,0)])である。
- 2-4-2-2. ここでR≠0とする。
- 2-4-2-2-1. もしY=$h (1≦h<∞)かつX[Y[0]]=ψ_{X_1}(X_2,X_3,Γ)となるΓ∈Tが
- 一意に存在するならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4[ψ_{P}(Q,R[0],Γ)])である。
- 2-4-2-2-2. そうでないならば、X[Y]=ψ_{X_1}(X_2,X_3,X_4[ψ_{P}(Q,R[0],0)])である。
- 3. ここでX=X_1+...+X_mを満たすX_1,...,X_m∈PT (2≦m<∞)が存在するとする。
- 3-1. もしX_m[Y]=0かつm=2ならば、X[Y]=X_1である。
- 3-2. もしX_m[Y]=0かつm>2ならば、X[Y]=X_1+...+X_{m-1}である。
- 3-3. もしX_m[Y]≠0ならば、X[Y]=X_1+...+X_{m-1}+X_m[Y]である。
巨大関数[]
ここでは、急増加関数を定義する。
全域再帰的写像 \begin{eqnarray*} f \colon T \times \mathbb{N} & \to & \mathbb{N} \\ (X,n) & \mapsto & f_X(n) \end{eqnarray*} を以下のように再帰的に定める:
- 1. もしX=0ならば、\(f_X(n) = n+1\)である。
- 2. もしX=$1またはX=Y+$1と表せられるY∈Tが存在するならば、\(f_X(n) = f_{X[0]}^n(n)\)である。
- 3. そのいずれでもないならば、\(f_X(n) = f_{X[$n]}(n)\)である。
巨大数[]
ここでは、巨大数を定義する。
全域再帰的写像 \begin{eqnarray*} g \colon \mathbb{N} & \to & PT \\ n & \mapsto & g(n) \end{eqnarray*} を以下のように再帰的に定める:
- 1. もしn=0ならば、\(g(n) = \psi_0(0,0,0)\)である。
- 2. そうでないならば、\(g(n) = \psi_{g(n-1)}(0,0,0)\)である。
全域写像 \begin{eqnarray*} F \colon \mathbb{N} & \to & \mathbb{N} \\ n & \mapsto & F(n) \end{eqnarray*} を\(F(n) = f_{\psi_0(0,0,g(n))}(n)\)と定める。
\(F^{10^{100}}(10^{100})\)を「くまくま4変数ψ数」と名付ける。
命名[]
ここでは、順序数に対して命名を行う。
\(\psi_0(0,0,\psi_{$2}(0,0,0))\)に対応する順序数をKKBHO (KumaKuma-Bachmann–Howard Ordinal)と名付ける。
\(\psi_0(0,0,\psi_{$\omega}(0,0,0))\)に対応する順序数をKKBO (KumaKuma-Buchholz Ordinal)と名付ける。
表記の限界に対応する順序数をEKKBO (Extended KumaKuma-Buchholz Ordinal)と名付ける。
評価[]
拡張ブーフホルツOCFの限界に対して、くまくま3変数ψではψ_0(0,ψ_1(0,0))が、くまくま4変数ψではψ_0(0,0,ψ_0(1,0,0))がそれぞれ対応することが想定されている。また、くまくま3変数ψの限界に対して、くまくま4変数ψではψ_0(0,0,ψ_1(0,0,0))が対応することが想定されている[1]。
KBHO、KBO、EKBO、KKBHO、KKBO、EKKBOがそれぞれどの順序数に対応するかは不明である。また、くまくま3変数ψ、くまくま4変数ψ共に、その大きさは不明である。したがって、くまくま3変数ψ数、くまくま4変数ψ数もまたその大きさは不明である[1]。
計算サイト[]
koteitan はくまくま3変数ψについて、2値の比較、dom、展開を計算するプログラムを作った[8]。現在 それらがweb上で計算できるサイトが公開されている。
Naruyoko はくまくま4変数ψについて、2値の比較、dom、展開、(オリジナルの定義には含まれてはいないが)標準形判定を計算するプログラムを作った[9]。< a b で項aと項bの比較を、dom c で項cのdomを計算できる。現在 それらがweb上で計算できるサイトが公開されている。
文献[]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 Kanrokoti, くまくまψ関数について, 巨大数研究 Wikiユーザーブログ
- ↑ 2.0 2.1 Kanrokoti, くまくま3変数ψ, 巨大数研究 Wikiユーザーブログ
- ↑ Kanrokoti, くまくま4変数ψ, 巨大数研究 Wikiユーザーブログ
- ↑ Kanrokoti, くまくま3変数ψの定義の書き直し, 巨大数研究 Wikiユーザーブログ
- ↑ p進大好きbot, 超限変数拡張ブーフホルツのψ関数, Googology Wiki user blog.
- ↑ Mitsuki, 試作:くまくま(大嘘)多変数Ψ, Japanese Googology Wiki user blog.
- ↑ p進大好きbot, ヴェブレン関数→ブーフホルツのψ関数→?, Japanese Googology Wiki user blog.
- ↑ koteitan, ordex: Ordinal Expander in JavaScript, koteitan.github.io, Jan. 2021.
- ↑ Naruyoko, Kumakuma 4 Variables Psi Implementation, naruyoko.github.io, Nov. 2021.
関連項目[]
Aeton: おこじょ数・N成長階層
mrna: 段階配列表記・降下段階配列表記・多変数段階配列表記・横ネスト段階配列表記
Kanrokoti: くまくまψ関数・亜原始ψ関数・ハイパー原始ψ関数・TSS-ψ関数
クロちゃん: クロちゃん数(第一・第ニ・第三・第四)
じぇいそん: ふにゃふにゃぜぇたかんすう・\(\zeta\)関数
たろう: 多変数アッカーマン関数・2重リストアッカーマン関数・多重リストアッカーマン関数
Nayuta Ito: フラン数(第一形態・第二形態・第四形態改三)・N原始・東方巨大数4の規則の境界を突いた巨大数
バシク: 原始数列数・大数列数・ペア数列数・バシク行列システム
長谷川由紀路: 紅魔館のメイドナンバー・恋符マスタースパーク数・みくみく順序数
108Hassium: E2:B-01-Hs・L-階差数列類・E3:B-02-Hs
公太郎: 弱亜ペア数列・肉ヒドラ数列・弱ハイパーペア数列
p進大好きbot: 超限急増加関数表記・拡張ブーフホルツのψ関数に伴う順序数表記・四関数・三関数・巨大数庭園数
ふぃっしゅ: ふぃっしゅ数(バージョン1・バージョン2・バージョン3・バージョン4・バージョン5・バージョン6・バージョン7)・ マシモ関数・マシモスケール・TR関数(I0関数)
ゆきと: 亜原始数列・ハイパー原始数列・Y数列
本: 巨大数論・寿司虚空編
大会: 東方巨大数・幻想巨大数・即席巨大数・式神巨大数・お料理巨大数
掲示板: 巨大数探索スレッド
外部リンク: 日本語の巨大数関連サイト