ふぃっしゅ数バージョン2 (F2)は、ふぃっしゅっしゅが2002年10月1日[1]に原型を考案しその後新たに投稿した巨大数[2]で、ふぃっしゅ数バージョン1とほぼ同じでSS変換の定義だけが変わっている。
定義[]
[1] 自然数と関数のペアから、自然数と関数のペアへの写像S(S変換)を以下で定義する。 \begin{eqnarray*} S(m,f(x)) = (g(m),g(x)) \end{eqnarray*} ただし\(g(x)\)は以下で与えられる。 \begin{eqnarray*} B(0,n) & = & f(n) \\ B(m+1,0) & = & B(m, 1) \\ B(m+1,n+1) & = & B(m, B(m+1, n)) \\ g(x) & = & B(x,x) \end{eqnarray*}
関数のみに着目して \[Sf(x) = g(x)\] と書くこともできる。
[2] 変換 \(S\) に対して、新たな変換 \( S^* \)を次で定義する。 \[ (S^* f)(x) = (S^x f)(x) \]
自然数、関数、変換から同様の組を生み出す写像SS(SS変換)を以下で定義する[3]。
\[ SS(m, f, S) = ((S^{f(m)}f)(m),\, (S^{f(m)})^* f,\, S^{f(m)}) \]
[3] 3つ組 \((m_0, f_0, S_0)\) を \(m_0 =3\), \(f_0(x)=x+1\), \(S_0\) はS変換とするとき、 \[ SS^{63}(m_0, f_0, S_0)\] の第1成分をふぃっしゅ数バージョン2 \(F_2\)、第2成分をふぃっしゅ関数バージョン2 \(F_2(x)\) と定義する。
近似[]
SS変換を\(a\)回、S変換を\(b\)回したときにできる関数 \(g_{a,b}(n) = B_{a,b}(0,n)\) は、\(A(a,b,0,n)\)のオーダーになることを、帰納的に示す。まず、\(a=0, b=0\)の時は初期の関数について \(B_{0,0}(0,n) = n+1 = A(0,0,0,n)\)が成り立っている。そして、\(B_{a,b}(m,n) = A(a,b,0,n)\) が成り立っているとして、そこにS変換を1回することで、関数\(A(a,b+1,0,n)\)に変換されることを示す。この時のS変換の式は、
\begin{eqnarray*} B_{a,b}(0,n) & = & A(a,b,0,n) \\ B_{a,b}(m+1,0) & = & B_{a,b}(m,1) \\ B_{a,b}(m+1,n+1) & = & B_{a,b}(m,B(m+1, n)) \\ B_{a,b+1}(0, n) & = & B_{a,b}(n, n) \end{eqnarray*}
となり、\(B_{a,b}(m,n) = A(a,b,m,n)\)と書き換えると、最初の式は
\begin{eqnarray*} A(a,b,0,n) & = & A(a,b,0,n) \end{eqnarray*}
の恒等式となり、残りの式は
\begin{eqnarray*} A(a,b,m+1,0) & = & A(a,b,m,1) \\ A(a,b,m+1,n+1) & = & A(a,b,m,A(a,b,m+1,n)) \\ A(a,b+1,0, n) & = & A(a,b,n,n) \end{eqnarray*}
となって、この漸化式は多変数アッカーマン関数と一致する。よって、S変換: \(A(a, b, 0, n) → A(a, b+1, 0, n)\) が示された。
次に、SS変換については、SS変換を\(a\)回した \(B_{a,0}(0, n)\) という関数に対して、SS変換をもう1回する \(B_{a+1,0}(0, n)\) は、S変換を\(n\)回する \(B_{a,n}(0, n)\) と等しいため(実際には\(f(m)\)回繰り返す操作が入っているためもう少し大きいが、ここでは大体の大きさ(オーダー)を計算するため、n回とする)、
\begin{eqnarray*} B_{a+1, 0}(0, n ) & = & B_{a, n}(0, n) \end{eqnarray*}
となり、これはアッカーマン関数の式
\begin{eqnarray*} A(a+1, 0, 0, n ) & = & A(a, n, 0, n) \end{eqnarray*}
と等しいため、帰納的に \(g_{a,b}(n) = B_{a,b}(0,n) = A(a,b,0,n)\) が示された。
SS変換を63回繰り返すことで、\(A(63,0,0,n)\) が得られる。よって、得られる数は\(A(1,0,0,0,63) = A(63,0,0,63)\) のオーダーとなる。これは、急増加関数では \(f_{\omega^3}(63)\) に相当し、他の表記法では以下の様に近似できる。5変数配列表記レベルである。
表記 | 近似 |
---|---|
BEAF | \(\{3,3,1,1,64\}\) |
ハイパーE表記 | \(E100\#\#\#\#63\) |
拡張チェーン表記 | \(3 \rightarrow_{64} 3 \rightarrow_{64} 2\) |
多変数アッカーマン関数 | \(A(1,0,0,0,63)\) |
s(n)変換 | \(s(4)[x+1](63)\) |
m(n)変換 | \(m(3)^3m(2)m(1)(63)\) |
急増加関数 | \(f_{\omega^3}(63)\) |
ハーディー階層 | \(H_{\omega^{\omega^3}}(63)\) |
緩成長階層 | \(g_{\varphi(63,0,0,0)}(100)\) |
旧バージョン[]
現在のバージョンと2002年10月1日にふぃっしゅ数バージョン2という名称でふぃっしゅっしゅが投稿した数はわずかに異なるが、その差は巨大数としては無視できる大きさである[4]。
プログラム[]
ふぃっしゅ数バージョン2および上述した旧バージョンのふぃっしゅ数バージョン2を計算するプログラムが書かれている。
- aycabta, ふぃっしゅ数バージョン2を計算するRubyプログラム
- Okkuu, ふぃっしゅ数バージョン2を計算するC++プログラム
- Okkuu, 旧バージョンのふぃっしゅ数バージョン2を計算するC++プログラム
- Mitsuki1729, ふぃっしゅ数バージョン2を計算するscratchプログラム
ただし現実的には、扱う数が大きすぎるため計算し終えることができない。
出典[]
- ↑ 2ch 巨大数の探索スレ(internet archive)
- ↑ ふぃっしゅっしゅ (2013) 『巨大数論』
- ↑ SS変換の明示的な表記について
- ↑ Okkuu, 旧ふぃっしゅ数バージョン2について, 巨大数研究 Wiki ユーザーブログ, 2020.
関連項目[]
Aeton: おこじょ数・N成長階層
mrna: 段階配列表記・降下段階配列表記・多変数段階配列表記・横ネスト段階配列表記
Kanrokoti: くまくまψ関数・亜原始ψ関数・ハイパー原始ψ関数・TSS-ψ関数
クロちゃん: クロちゃん数(第一・第ニ・第三・第四)
じぇいそん: ふにゃふにゃぜぇたかんすう・\(\zeta\)関数
たろう: 多変数アッカーマン関数・2重リストアッカーマン関数・多重リストアッカーマン関数
Nayuta Ito: フラン数(第一形態・第二形態・第四形態改三)・N原始・東方巨大数4の規則の境界を突いた巨大数
バシク: 原始数列数・大数列数・ペア数列数・バシク行列システム
長谷川由紀路: 紅魔館のメイドナンバー・恋符マスタースパーク数・みくみく順序数
108Hassium: E2:B-01-Hs・L-階差数列類・E3:B-02-Hs
公太郎: 弱亜ペア数列・肉ヒドラ数列・弱ハイパーペア数列
p進大好きbot: 超限急増加関数表記・拡張ブーフホルツのψ関数に伴う順序数表記・四関数・三関数・巨大数庭園数
ふぃっしゅ: ふぃっしゅ数(バージョン1・バージョン2・バージョン3・バージョン4・バージョン5・バージョン6・バージョン7)・ マシモ関数・マシモスケール・TR関数(I0関数)
ゆきと: 亜原始数列・ハイパー原始数列・Y数列
本: 巨大数論・寿司虚空編
大会: 東方巨大数・幻想巨大数・即席巨大数・式神巨大数・お料理巨大数
掲示板: 巨大数探索スレッド
外部リンク: 日本語の巨大数関連サイト