プロス素数 (Proth prime) とは素数なプロス数である。即ち\(k\)を正の奇数、\(n\)を自然数、\(2^{n}>k\)とした時に\(k\times2^{n}+1\)で表される素数のことである[1]。
概要[]
プロス素数の名称は、1878年にこの形式の素数の特殊な性質を発見したフランソワ・プロスに因んでいる[2]。プロスは\(a^{\left(\frac{p-1}{2}\right)}\equiv-1 \pmod p\)を満たす整数\(a\)があれば\(p\)は素数であると証明した。これは\(a^{\left(\frac{p-1}{2}\right)}+1\)が\(p\)で割り切れることと同義である。今日ではこれをプロスの定理 (Proth's theorem) と呼ぶ[3]。
現在知られている最も大きなプロス素数は\(10223\times2^{31172165}+1\approx5.06250\times10^{9383760}\)である。2016年11月にPrimeGridによって、\(10223\)が第2種シェルピンスキー数ではない反例として発見された[4]。これは発見時点で知られている7番目に大きな素数、かつ知られている最大の非メルセンヌ素数であった。現在でも知られている最大の非メルセンヌ素数である[5]。
プロス素数が無数に存在するのかは未解決問題である。プロス素数の逆数和は\(\omega_{\mathscr{R}}\approx0.747392479\cdots\)に収束することが示されているが、これはプロス数の逆数和\(\omega_{\mathscr{F}}\approx1.09332245579\cdots\)よりも大幅に小さい[6]。
プロス素数と関連のある数[]
プロス素数は多くの数と関連しており、プロスの定理を利用してプロス素数を探索することは、他の性質を持つ素数の探索にも繋がるため、PrimeGridのような分散コンピューティングプロジェクトも存在する[7]。
\(k\times 2^n+1\) で表される数の中には様々なクラスが考えられている。以下のリストは、プロス数に関連する (プロス数・プロス素数を含むことがある) 数のクラスを列挙している。
- カレン素数 - \(n\times2^{n}+1\)
- サービト素数 - \(3\times2^{n}+1\)
- 第2種シェルピンスキー数 - 正の奇数\(k\)が第2種シェルピンスキー数ではない時の反例として与えられる。またこのうち、\(k<78557\)かつ十進数展開が100万桁を越える素数はコルベール数と呼ばれる。
- ピアポント素数 - \(2^{m}\times3^{n}+1\)
- フェルマー数 - \(2^{2^{n}}+1\)
- フェルマー素因数 - フェルマー数の素因数は全て \(k\times2^{n+2}+1\) (\(k\geqq 3\)) の形である。
出典[]
- ↑ "Proth Prime". Wolfram MathWorld.
- ↑ Tsz-Wo Sze. "Deterministic Primality Proving on Proth Numbers". arXiv, math.NT, 2008. arXiv: 0812.2596v5
- ↑ "Proth's Theorem". Wolfram MathWorld.
- ↑ "Sebenteen or Bust statistics". PrimeGrid.
- ↑ "Largest Known Primes". The PrimePages.
- ↑ Bertalan Borsos, Attila Kovács & Norbert Tihanyi."Tight upper and lower bounds for the reciprocal sum of Proth primes". The Ramanujan Journal, 2022; 59, 181-198. DOI: 10.1007/s11139-021-00536-2
- ↑ "PrimeGrid".