巨大数研究 Wiki
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\( \newcommand\a{\alpha} \newcommand\b{\beta} \newcommand\g{\gamma} \newcommand\z{\zeta} \newcommand\x{\xi} \newcommand\n{\nu} \newcommand\m{\mu} \newcommand\Enum{\text{Enum}} \newcommand\p{\psi} \newcommand\o{\omega} \newcommand\O{\Omega} \)

次:EBO以上の順序数の解説 (2) ラティエンのΦ関数


前置き[]

EBOを知らない方は拡張ブーフホルツのψ関数に、
ブーフホルツのψ関数を知らない方は順序数崩壊関数に、
順序数を知らない方は急増加関数に、
飛んでください。(要約:EBOを知っているならどうぞ進んでください)


EBOを超えるには[]

EBOCFは最小のオメガ不動点までの基数(すべてではない)を作成でき、EBOまでの可算順序数を表せます。
順序数崩壊関数は大きい非可算基数を使って大きい可算順序数を作成します。
なら「最小のオメガ不動点より大きい基数を作成する関数」を入れたEBOCFを作成すれば、EBOを超える可算順序数を作成できます。


最小のオメガ不動点より大きい基数を作成する関数[]

ではどう定義すればいいでしょう? ヒントはオメガ不動点の定義にあります。

オメガ不動点は\(\a \mapsto \omega_\a\)の不動点、つまり\(\a = \omega_\a\)を満たす順序数のことです。
これを数え上げる関数を定義しましょう。

\begin{eqnarray} \Phi(\a) = \Enum[\{\b \mid \b = \omega_\b\}](\a) \end{eqnarray}

\(\Enum[](\a)\)は、集合の\(\a\)番目の要素を取り出す関数で、「数え上げ関数」と呼ばれます。
今回は「オメガ不動点全体の集合」を\(\Enum[](\a)\)に入れているので、\(\Phi\)は「オメガ不動点を数え上げる関数」になります。


EBOCF+\(\Phi\)[]

あとはEBOCFの定義に入れましょう。

  • \(C_\n^0(\a) = \O_\n\)
  • \(C_\n^{n+1}(\a) = \{\x + \z \mid (\x,\z) \in C_\n^n(\a)^2\}\)
    \(\cup\{\p_\m(\x) \mid (\m,\x) \in C_\n^n(\a)^2\land \x < \a\}\)
    \(\cup\{\Phi(\x) \mid \x \in C_\n^n(\a)\}\)
  • \(C_\n(\a) = \displaystyle\bigcup_{n < \o} C_\n^n (\a)\)
  • \(\p_\n(\a) = \min\{\x \mid \x \notin C_\n(\a)\}\)

ここで \(\O_0:=1,\O_\x:=\aleph_\x(\x > 0)\) とする。

完成です!
この関数で表せない最小の順序数は\(\p_0(\min\{\a \mid \a = \Phi(\a)\})\)となります。


おまけ[]

閉包を使うことで、上記の定義を簡潔にできます。

\(\O_\a\)の定義
  1. \(\O_0 := 1,\O_{1+\a} := \aleph_\a = \omega_\a\)
\(C_\n(\a)\)と\(\p_\n(\a)\)の定義
  1. \(C_\n(\a)\)は以下の閉包である:
    1. \(\O_\n\)
    2. \(+\)
    3. \(\x \mapsto \Phi(\x)\)
    4. \((\m,\x) \mapsto \p_\m(\x) ~ (\x < \a)\)
  2. \(\p_\n(\a)\)は\(C_\n(\a)\)に属さない最小の順序数である。
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