OCF(順序数崩壊関数)のメモです。(建前) OCFがどうして難しいかを個人的にまとめたものです。(本音)
OCFのメリット[]
- 停止性が定義によって担保されている。
- 強さの割に表記はシンプル。例えばEBOCFで使用する関数記号は\(0,+\)のみ、定数は\(0\)のみ。
- (定義の構成によっては)拡張も簡単。崩壊対象を追加するだけで拡張できるOCFもいくつかある。
- 挙動も簡潔。横ネストと違って関数内で計算が完結する。
- 加法ベースのOCFは解析にも扱いやすい。(加法ベースのOCFはカントール標準形と互換性がある)
OCFのデメリット[]
扱えるようになるまでがものすごく長い[]
OCFを理解するには「順序数」「非可算基数(+巨大基数)」についての知識を得た上でその特殊な定義を理解しなくてはならない。
しかも「標準形」を使って書かれているOCFなら難易度はさらに上がる。
もちろん、定義だけで挙動や構造を理解できる人はほぼいないので、たいていの人は
- 実際に計算する。
- 計算例を見る。
のどちらかをしなければならない。
もちろん2.の方が楽だが、なんと一番有名なブーフホルツのψ関数ですら計算例の記事が存在しない。どうして放置されたんだ
ここまででも\(\Gamma_0\)超過の順序数を理解したい人にとっては難関だろう。しかし、まだ必要なことがある...
OCFは順序数関数なので、当然そのままでは使いようがない。
よって
- OCFの基本列を理解する。
- OCFの基本列を構成する。
- OCFと対応する順序数表記(これ単体で巨大数表記になる)を理解する。
のどちらかをする必要がある。
1.が一番楽だが...基本列を律儀に書いているOCFはほぼないのでわざわざ構成しなければならない。
では2.と3.はというと、どちらも「共終数」を理解しなければならない。
困ったことに共終数も順序数関連、しかも濃度(基数)の理解が必要。
つまり、OCFを扱えるようになるまでには
- 順序数
- 濃度
- 基数
- 非可算基数
- (巨大基数)
- OCF本体
- 共終数
- 基本列
...と、実に7つ(8つ)もの前提知識がいるのである。
学ぶ側はもちろん、教える側にとってもかなりの負担なのは言うまでもない。
おまけ[]
OCFの解説記事一覧[]
どれも長いうえある程度の数学知識を要求する(最低でも集合)ので、読む際は覚悟しよう。