(メタ的に言うと、これはBuchholz's ψの解説記事の続きです。)
(背景は白一色で、画面には黒い髪と黄色い髪の生首がそれぞれ右下と左下に映っている。以下それぞれの生首をA,Bとする。黒髪であるにもかかわらずAの字幕は赤で書かれている)
A: さて、今日もゆっくり実況やっていきましょう
B: 実況するのは
A: ゆっくり霊夢と
B: ゆっくり魔理沙だぜ
B: それで、前回は何を実況したんだぜ?
A: 新シリーズのBuchholz's ψで、\( \psi_0(0) \)を計算したね。前回の動画をまだ見てない人は、そっちを先に見たほうがいいと思うから、概要欄にリンクを貼っておくよ
B: そっちもよろしくだぜ
A: というわけで、Buchholz's ψ実況プレイ、始めていきましょう
B: 今回はワールド\( 0 \)のステージ\( 1 \)からなんだぜ
A: 先に謝っておくけど、今回は先にワールド\( 1 \)のステージ\( 0 \)をやることにしたよ
B: なんでなんだぜ?
A: ステージ\( 1 \)以降の動きを説明するのに先にステージ\( 0 \)を全部やっておいた方が分かりやすくなるからだよ
B: そんなこともあるのぜ?
B: さっそくゲームが始まったみたいだぜ
(画面全体にゲーム画面が表示される)
\( C_1^0(0) = \Omega_1 = \aleph_1 \)
B: \( \aleph \)って何だぜ? 最低ランクの悪魔のことかぜ?
A: \( \aleph_1 \)は全ての可算順序数の集合だよ。\( \Omega_1 \)も同じ意味で、流派によっていくつか書き方があるからこう書いてあるんだね。ここでは、\( \Omega_1 \)を使うことにするね
B: \( \Omega \)が出てきて、ようやく順序数崩壊関数らしくなってきたぜ
A: それじゃあ早速時間を進めて、この集合がどうなるか見てみよう
\( C_1^1(0) = \Omega_1 \)
B: さっきも\( \Omega_1 \)だったから、変わらないみたいだぜ
A: これも定義を追っていけばわかるよ。前回とほぼ同じだから、そんなに難しくはないよ
B: 定義を持ってきたぜ
(定義の2行目が画面左から移動してゲーム画面を覆いつくす)
\( C_\nu^{n+1}(\alpha) = C_\nu^n(\alpha) \cup \{\gamma | P(\gamma) \subseteq C_\nu^n(\alpha)\} \cup \{\psi_\mu(\xi) | \xi \in \alpha \cap C_\nu^n(\alpha) \wedge \xi \in C_\mu(\xi) \wedge \mu \leq \omega\} \)
A: 第1項は\( C_\nu^n(\alpha) \)だけど、今は\( \nu = 1, n = 0, \alpha = 0 \)だから、\( C_1^0(0) \)だね
B: これは\( \Omega_1 \)なんだぜ
A: 第2項は\( \{\gamma | P(\gamma) \subseteq C_\nu^n(\alpha)\} \)だけど、ここでは前回と違ったことが起こるよ
B: 前回はそこが\( \{ 0 \} \)だったんだぜ
A: 今回は\( C_\nu^n(\alpha) \)が\( \Omega_1 \)だから、足し算で表した時に\( \Omega_1 \)未満の順序数だけが現れるような順序数全体の集合だよ
B: \( \Omega_1 \)未満だけって、どんな順序数もそうなんじゃないのかぜ?
A: 可算順序数はそうだけど、非可算順序数はそうじゃないよ
B: そうだったぜ。\( \Omega_1 \)は\( \Omega_1 \)未満の足し算には分解できないぜ
A: そうだね。つまり、第2項は可算順序数全体の集合、つまり\( \Omega_1 \)になるよ
B: 待つんだぜ。可算順序数なら全部足し算で表せるのぜ?
A: そうだよ。どんな順序数も足し算で表せるし、可算順序数は分解しても可算順序数しか出てこないよ
B: わかったぜ。つまり第2項は\( \Omega_1 \)になるんだぜ
A: その通りだよ。次は第3項だけど、前回と同じように\( \alpha = 0 \)だから、ここは空集合だよ
B: 前回も同じことをやったぜ
A: じゃあ、3つの項をまとめるよ。今回はこうなるね
\( C_\nu^{n+1}(\alpha) = \underbrace{C_\nu^n(\alpha)}_{\Omega_1} \cup \underbrace{\{\gamma | P(\gamma) \subseteq C_\nu^n(\alpha)\}}_{\Omega_1} \cup \underbrace{\{\psi_\mu(\xi) | \xi \in \alpha \cap C_\nu^n(\alpha) \wedge \xi \in C_\mu(\xi) \wedge \mu \leq \omega\}}_{\{ \}} \)
B: つまり、\( \Omega_1 \cup \Omega_1 \cup \{ \} \)を求めればいいんだぜ
A: そうだね。\( \Omega_1 \)は可算順序数全体の集合だから、\( \Omega_1 \cup \Omega_1 \cup \{ \} = \Omega_1 \)になるよ
B: ということは、\( C_1^1(0) = \Omega_1 \)なんだぜ
A: そういうことだよ。ちなみに、任意の集合\( A \)に対して\( A \cup A \cup \{ \} = A \)が成り立つけど、後で使うから覚えておいてね
B: 考えれば自明なんだぜ
A: 時間を進めて、この後どうなるか見てみよう
\( C_1^2(0) = \Omega_1 \)
B: 変わらないぜ
A: 前回と同じだね。\( C_1^0(0) \)も\( C_1^1(1) \)も\( \Omega_1 \)だから、そこから先は何回繰り返しても同じになるよ
B: 同じことを前回もやったんだぜ
A: 時間を無限に進めて、極限を取るよ
\( C_1^3(0) = \Omega_1 \)
\( C_1^4(0) = \Omega_1 \)
\( C_1^5(0) = \Omega_1 \)
\( \vdots \)
\( C_1(0) = \Omega_1 \)
A: 3行目の定義が使われたね。\( C_1(0) = \bigcup_{n < \omega} C_0^n (0) = C_0^0 (0) \cup C_0^1 (0) \cup C_0^2 (0) \cup \cdots \)だから、これは\( \Omega_1 \cup \Omega_1 \cup \Omega_1 \cup \cdots = \Omega_1 \)になるよ
B: つまり、\( \psi_1(0) = \Omega_1 \)なんだぜ
A: そうなるね。次はワールド\( 2 \)のステージ\( 0 \)、\( \psi_2(0) \)の計算だよ
B: 今回はここで終わらないのぜ?
A: 終わらないよ。なんといっても、今回は各ワールドのステージ\( 0 \)を全部やるからね
B: 全部って、何個あるんだぜ?
A: 無限個だよ。具体的に言うと、ワールド\( 1 \)からワールド\( \omega \)だね
B: 無限個あったらこの動画が終わらないんだぜ
A: その点は大丈夫。なぜなら、今から全部同時にやるからだよ
B: 全部同時って、無限個あるんだぜ。動画が崩壊するんだぜ
A: そこも大丈夫だよ。これは数学だから、プレイするワールドに\( k \)を代入できるよ。ワールド\( k \)をプレイして、\( k \)に\( 1 \)から\( \omega \)までそれぞれ代入すれば、それぞれのワールドをプレイしたことになるからね
B: 数学怖いぜ
A: というわけで、今から一気に全部見せるよ
B: ダイジェストじゃないんだぜ
\( C_k^0(0) = \Omega_k = \aleph_k \)
A: ゲームが始まったみたいだね。\( k \)がワールド数だよ
B: これで全部を表したことになるんだぜ
A: いつも通り時間を進めるよ。無限個あるからにぎやかだね
\( C_k^1(0) = \Omega_k \)
B: これも3つに分けて調べるんだぜ?
A: そうだね。第1項は今までと同じように、\( \Omega_k \)だよ。\( \alpha = 0 \)だから、第3項も変わらず空集合だよ
B: あとは第2項だぜ
A: 第2項は、足し算で表した時に\( \Omega_k \)未満の項しか出てこない順序数全体の集合なんだけど、これは\( \Omega_k \)に等しいね
B: \( \Omega_k \)より小さいと足し算に分解しても\( \Omega_k \)未満しか出てこないし、\( \Omega_k \)以上だとどうしても\( \Omega_k \)が出てくるぜ
A: \( \Omega_k \)とは限らないけど、\( \Omega_k \)以上の項だね
B: たしかに、\( \Omega_{k+1} \)はこれ以上分解できないぜ
A: つまり、第2項は\( \Omega_k \)ということだね
B: これで3項そろったんだぜ
A: あとはいつもの通りだよ
\( C_\nu^{n+1}(\alpha) = \underbrace{C_\nu^n(\alpha)}_{\Omega_k} \cup \underbrace{\{\gamma | P(\gamma) \subseteq C_\nu^n(\alpha)\}}_{\Omega_k} \cup \underbrace{\{\psi_\mu(\xi) | \xi \in \alpha \cap C_\nu^n(\alpha) \wedge \xi \in C_\mu(\xi) \wedge \mu \leq \omega\}}_{\{ \}} \)
B: \( C_k^1(0) = \Omega_k \cup \Omega_k \cup \{ \} = \Omega_k \)なんだぜ
A: そうだね。そこでさっき覚えておいてねと言った式を使ったよ
B: 次は\( C_k^2(0) \)なんだぜ
A: 結果が同じだから、最後まで見せるね
\( C_k^2(0) = \Omega_k \)
\( C_k^3(0) = \Omega_k \)
\( C_k^4(0) = \Omega_k \)
\( \vdots \)
\( C_k(0) = \Omega_k \)
\( \psi_k(0) = \Omega_k \)
B: \( k \)が入ったまま\( \psi_k(0) \)が求まってしまったぜ
A: これで、ステージ\( 0 \)は全部終わったよ
B: そういわれてみれば、なんだか無限個のワールドをプレイした気がするぜ
A: \( \psi_k(0) \)が求まったから、この動画はここでおしまいだよ。動画を最後まで見てくれてありがとう。高評価をよろしくね
B: チャンネル登録もよろしくだぜ
A: 次回予告。Buchholz's ψはステージ\( 1 \)に突入し、第3項が全体の結果に影響する。果たしてステージ\( 1 \)では何が待っているのか
A: 次回「\( \sum_{n=1}^{\infty} 1 \)」おたのしみに