ラマヌジャン定数 (Ramanujan constant) とは、以下の定数である[1]。
\[R = e^{\pi\sqrt{163}} \approx 262537412640768744 = 640320^{3}+744\]
概要[]
\(e^{\pi\sqrt{163}}\)のユニークな性質は、1859年にシャルル・エルミートによって初めて発見されたが、有名になったのは1975年4月にサイエンティフィック・アメリカン誌にエイプリルフールのジョークとして掲載されたことがきっかけである。同誌コラムニストのマーティン・ガードナーは、一見して整数とは思えない\(e^{\pi\sqrt{163}}\)が正確に整数であり、1914年にシュリニヴァーサ・ラマヌジャンが発見していた、というジョークを書いた。ネタばらしは同年7月にされた[1]。
\(e^{\pi\sqrt{163}}\)は実際には整数ではなく、ほとんど整数であり、超越数である[2]。
\[R=e^{\pi\sqrt{163}}\approx262537412640768743.99999999999925007\cdots\]
ラマヌジャン定数という名前はサイモン・プラウフが命名したものであり、ラマヌジャンが実際に\(e^{\pi\sqrt{163}}\)に言及した記録はない。1914年に非常によく似た形式の\(e^{\pi\sqrt{58}}\)を初め[3]、ほとんど整数の例をいくつも発見しているラマヌジャンが気づいていた可能性は否定できないものの、今のところラマヌジャンと\(e^{\pi\sqrt{163}}\)は直接には無関係である[1]。
ラマヌジャン定数がほとんど整数なのは、\(163\)がヘーグナー数の1つであり[4][5]、\(e^{\pi\sqrt{d}}\approx-j\left(\cfrac{1+\sqrt{-d}}{2}\right)+744\)であるためである。
その他[]
\(e^{\pi\sqrt{163}}\)とよく似た\((\pi\sqrt{163})^{e}\approx22806.9992\cdots\)もほとんど整数である。1984年にDavid Barry Gauldによって発見された[2][6]。
出典[]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 "Ramanujan Constant". Wolfram MathWorld.
- ↑ 2.0 2.1 "A060295: Decimal expansion of exp(Pi*sqrt(163))". The On-Line Encyclopedia of Integer Sequences.
- ↑ "A169624: Decimal expansion of e^(Pi*sqrt(58))" The On-Line Encyclopedia of Integer Sequences.
- ↑ "A003173: Heegner numbers: imaginary quadratic fields with unique factorization (or class number 1)" The On-Line Encyclopedia of Integer Sequences.
- ↑ "Heegner Number". Wolfram MathWorld.
- ↑ David Barry Gauld. "Problem 12 revisited" New Zealand Mathematical Society Newsletter, 1984; 32, 17. (PDF)