億 (おく) は日本語の数の単位の1つである。通常、一億で\(10^{8}=100000000\)を表す。
文献による違い[]
一般的に一億\(=10^{8}\)として使用されているのは、現在の日本で使われている数の単位が『塵劫記』の1634年 (寛永11年) 版に基づいるためである。漢数字において異なる大きさが現れるのは億が最小の数詞である。『数術記遺』と『塵劫記』初版では下数のため\(10^{5}\)を表す一方で、それ以外の中数と上数はどれも\(10^{8}\)であるため、億を\(10^{5}\)の意味で使用することの方が珍しい。このような事情と、億は日常的に使用されている数詞であることもあるため、違いはめったに考慮されない。
文献 | 著者 | 時代 | 方式 | 大きさ |
---|---|---|---|---|
礼記 | 戴聖 (編纂者) | 前漢 | 中数万万進 | \(10^{8}\) |
数術記遺 | 徐岳 | 2世紀頃 | 下数 | \(10^{5}\) |
中数万進 | \(10^{8}\) | |||
上数 | \(10^{8}\) | |||
算法統宗 | 程大位 | 1592年 | 中数万万進 | \(10^{8}\) |
塵劫記 | 吉田光由 | 初版 (1627年) | 下数 | \(10^{5}\) |
寛永8年版 (1631年) | 中数万進 | \(10^{8}\) | ||
寛永11年版 (1634年) | 中数万進 | \(10^{8}\) |
使用例[]
億は日常的に使用されているため、例は無数に提示可能である。当記事では巨大数研究Wiki内で言及されている数や立項済みの記事を例示する。
億で表現できる数学的な値[]
- 最小のポリア予想の反例[2] (\(L(906150257)=1\))
- 8番目のメルセンヌ素数[3]、かつ3番目の二重メルセンヌ素数[4] (\(M_{31}=2^{31}-1=M_{M_{5}}=2^{2^{5}}-1=2147483647\))
- 4番目のミルズ素数[5] (\(b_{4}=((2^{3}+3)^{3}+30)^3+6=2521008887\))
- 最小のフェルマー合成数[6] (\(F_{5}=4294967297=641\times6700417\))
- 初めて発見されたオイラー予想の反例[7] (\(27^{5}+84^{5}+110^{5}+133^{5}=144^{5}=61917364224\))
他の表現[]
- 一億はクラス2に属する最小の漢数字である。
- ショートスケールのビリオンは10億に等しい。
- ロングスケールのミリアードは10億に等しい。
- 六十華厳での拘梨は100億に等しい[8]。
- グッピー連隊のリトルスクウィーカーは500億に等しい[9]。
出典[]
- ↑ 高杉親知. (Oct 2, 2002) "無量大数の彼方へ". 思索の遊び場.
- ↑ Minoru Tanaka. "A Numerical Investigation on Cumulative Sum of the Liouville Function". Tokyo Journal of Mathematics, 1980; 3 (1) 187–189. DOI: 10.3836/tjm/1270216093
- ↑ "The Largest Known prime by Year: A Brief History". The PrimePages.
- ↑ A263686 Smallest prime factor of double Mersenne numbers. On-Line Encyclopedia of Integer Sequences.
- ↑ Chris K. Caldwell & Yuanyou Cheng. "Determining Mills' Constant and a Note on Honaker's Problem". Journal of Integer Sequences, 2005; 8, 05.4.1.
- ↑ "Fermat number". The PrimePages.
- ↑ L. J. Lander & T. R. Parkin. "Counterexample to Euler’s conjecture on sums of like powers". Bulletin of the America Mathematical Society, 1966; 72, 1079. DOI: 10.1090/S0002-9904-1966-11654-3
- ↑ "T09n0278_029 大方廣佛華嚴經 第29卷, 心王菩薩問阿僧祇品第二十五". CBETA 漢文大藏經.
- ↑ Sbiis Saibian. "4.3.2 - Hyper-E Numbers". Large Numbers.