奇数の完全数

奇数の完全数 (Odd perfect numbers) が存在するかどうかについては未解決問題である。もしそのような数\(N\)が存在する場合、その大きさは最低でも\(N>10^{1500}\)である。現在発見されている完全数は全て偶数に限られており、その形はメルセンヌ素数を含む乗算\(2^{p-1}(2^{p}-1)\)に限られる。なお、偶数の完全数が無数に存在するかどうかも未解決問題である。

概要

奇数の完全数が存在するかについての最初の言及は、1496年のジャック・ルフェーヴル・デタープルによるものであり、完全数は紀元前3世紀にユークリッドが示した形\(2^{p-1}(2^{p}-1)\)に限られるとし、奇数の完全数は存在しないとした。偶数の完全数の形がユークリッドの示した形にのみ限られると証明したオイラーは、奇数の完全数が存在するかどうかの問題は非常に難題であると述べている。

2006年にカール・ポメランスは、1以外の奇数の調和数が発見されていないという事実から、ヒューリスティクスな議論ではあるが、奇数の完全数は存在しないとする論を発表している。

性質

もし奇数の完全数\(N\)が存在する場合、以下の性質を満たす事になる。

• \(N>10^{1500}\)
• 105で割り切れない。
• \(N\equiv1\pmod{12}\)又は\(N\equiv117\pmod{468}\)あるいは\(N\equiv81\pmod{324}\)である。
• 最大の素因数は\(10^{8}\)より大きく、かつ\(\sqrt[3]{3N}\)より小さい。
• 2番目に大きな素因数は\(10^{4}\)より大きく、かつ\(\sqrt[5]{2N}\)より小さい。
• 3番目に大きな素因数は\(10^{2}\)より大きい。
• 重複も数えて少なくとも101個の素因数を持ち、少なくとも10個の相異なる素因数を持つ。
• 3を素因数としない場合少なくとも12個の、3と5を素因数としない場合少なくとも15個の、3と5と7を素因数としない場合少なくとも27個の相異なる素因数を持つ。
• 素因数分解を\(N=q^{\alpha}p^{2e_{1}}_{1}\cdots p^{2e_{k}}_{k}\)の形で表す時、次の性質を満たす。
  • \(q<p_{1}<\cdots<p_{k}\)は相異なる素数で、\(q \equiv \alpha \equiv 1 \pmod{4}\)を満たす。
  • 最小の素因数は\(\frac{2k+8}{3}\)未満である。
  • \(p_{1}<\frac{2}{3}k+2\)
  • \(p_{i}<2^{2^{i-1}}(k-i+1)\)である。この時\(2\leqq i\leqq6\)である。
  • \(q^{\alpha}\)又は\(p^{2e_{j}}_{j}\)は\(10^{62}\)より大きい。この時\(1\leqq j\leqq k\)である。
  • \(\alpha+2e_{1}+\cdots+2e_{k}\geqq\frac{21k-18}{8}\)
  • \(\alpha p_{1}\cdots p_{k}<2N^{\frac{17}{26}}\)
  • \(N\leqq2^{4^{k+1}-2^{k+1}}\)
  • \(e_{j}\not\equiv1\pmod{3}\)かつ\(e_{j}\not\equiv2\pmod{5}\)である。もし左記のどちらか片方でも満たさない場合、最小の素因数は\(10^{8}\)から\(10^{1000}\)の間である。
  • \(e_{1}=\cdots=e_{k}=e\)とすると、以下の性質がある。
    • \(e\neq1,2,3,5,6,8,11,12,14,17,18,24,62\)
    • \(k\leqq2e^{2}+8e+2\)
    • \(N<2^{4^{2e^{2}+8e+3}}\)
    • \(N\equiv1\pmod{12}\)又は\(N\equiv\frac{1}{2}\cdot3^{2e_{1}}(3^{2e_{1}+1}-1)\pmod{2\cdot3^{2e_{1}}(3^{2e_{1}+1}-1)}\)を満たす。
    • \((e_{1},\cdots,e_{k})=(1,\cdots,1,2,\cdots,2)\)である場合、tを1、uを2として、\(\frac{t-1}{4}\leqq u \leqq 2t+\sqrt{\alpha}\)である。
    • \((e_{1},\cdots,e_{k})\neq(1,\cdots,1,3)\)\(,(1,\cdots,1,5),(1,\cdots,1,6)\)

関連項目

• 知られている最大の完全数
• 知られている最大の素数
• 倍積完全数