極 (ごく) は、日本語の数の単位の1つである。通常、一極で\(10^{48}\)を表す。
文献による違い[]
一般的に一極\(=10^{48}\)として使用されているのは、現在の日本で使われている数の単位が『塵劫記』の1634年 (寛永11年) 版に基づいるためである。これは時代や文献によって異なる。
文献 | 著者 | 時代 | 方式 | 大きさ |
---|---|---|---|---|
算法統宗 | 程大位 | 1592年 | 中数万万進 | \(10^{88}\) |
塵劫記 | 吉田光由 | 初版 (1627年) | 下数 | \(10^{15}\) |
寛永8年版 (1631年) | 中数万進 | \(10^{48}\) | ||
寛永11年版 (1634年) | 中数万進 | \(10^{48}\) |
『礼記』と『数術記遺』に掲載されているのは載までである。極以降は『算学啓蒙』で初めて導入され、日本語の数の単位としての根拠となる『算法統宗』と『塵劫記』にも掲載されている。また、漢字一文字で表される数の単位としては最大の大きさである[1]。
師尾潤によれば、『単位の事典』では "中国の古単位" として一極\(=10^{10192}\)が挙げられているが、この単位の出典は不明であり、また大きさが類似する上数の考え方からすると\(10^{8192}\)の誤りであると考えられる、としている[2]。この値は、その手前の一載\(=10^{5096}\)の自乗に相当し、本来は一載\(=10^{4096}\)とすべきところ一載\(=10^{5096}\)で誤って計算したと考えれば説明がつく。上数の考え方は『数術記遺』でのみ使用されており、その時代に漢数字としての極は存在しなかったため、この大きさは参照されない。
使用例[]
- ショートスケールのOne-quindecillionは1極に等しく、One-sexdecillionは1000極に等しい。
- うお座・くじら座超銀河団複合体の総質量は約2極kgである[3]。
- 重力波イベントGW190521の重力波の総エネルギーは約1極2000載Jである[4]。
出典[]
- ↑ 1.0 1.1 高杉親知. (Oct 2, 2002) "無量大数の彼方へ". 思索の遊び場.
- ↑ 師尾潤. "数の名前について(第二版)". 雨粟莊.
- ↑ R. B. "More about clustering on a scale of 0.1 C". Astrophysical Journal, Part 1, 1987; 323, 1-18.
- ↑ LIGO Scientific Collaboration and Virgo Collaboration, et.al. "Properties and Astrophysical Implications of the 150 M⊙ Binary Black Hole Merger GW190521". The Astrophysical Journal Letters, 900 (1) L13. DOI: 10.3847/2041-8213/aba493