順序数崩壊関数 (ordinal collapsing function) とは,ある種の順序数値関数の総称である.順序数崩壊関数の崩壊はモストウスキ崩壊とのアナロジーによる.各々の関数は定義されているが順序数崩壊関数という総称は定義されているわけではないことに注意すべきである.その多くが\(\psi\)という記号で表されるので\(\psi\)の曖昧さ回避ページも参照.
歴史[]
先駆的な仕事としてバッハマンによるヴェブレン階層の拡張があり[1][2],初めて最小の非可算順序数が用いられた.これは高階関数を用いたものであり,このアプローチはアクゼル,ジラールなどによって継承されている. 現在の順序数崩壊関数の原型となるのはフェファーマンのθ関数であろう.これは1970年代のフェファーマンによる未出版の結果により[3],高階関数によらず,基本列を生成しやすい定義となっている.またブーフホルツが1980年代にフェファーマンの関数を簡略化し,ブーフホルツのψ関数を作成した[4].現在ではこのブーフホルツのψ関数を元とした順序数崩壊関数が一番用いられている.
解説[]
以下のような順序数崩壊関数を考えてみる. をのによる閉包とし,
.
とする.
このとき,に含まれる順序数についてはであることとであることが同値になる.ゆえに,モストウスキ崩壊の類似と言われる.
例[]
- ヴァイアーマンのϑ関数(の崩壊)
- マドールのψ関数[英語](までの崩壊)
- フェファーマンのθ関数[英語](までの崩壊)
- ブーフホルツのψ関数(までの崩壊)
- 拡張ブーフホルツのψ関数(最小のオメガ不動点までの崩壊)
- イェーガー・ブーフホルツのψ関数(弱到達不能基数までの崩壊)
- イェーガーのψ関数[英語](弱ハイパー到達不能基数までの崩壊)
- ラティエンのψ関数(弱マーロ基数までの崩壊)
- ラティエンのΨ関数[英語](弱コンパクト基数までの崩壊)
- 新井のψ関数[英語](記述不能基数までの崩壊)
- シュテガートΨ関数[英語](記述不能基数,及びある条件を満たす記述不能基数の上の到達不能基数の崩壊(もはやモストウスキ崩壊とのアナロジーはないため射影関数と呼ばれる))
参考文献[]
- ↑ H. Bachmann. Die Normalfunktionen und das Problem der ausgezeichneten Folgen von Ordnungszahlen. Diss. Fretz, 1950.
- ↑ H. Bachmann. A Translation of" Die Normalfunktionen und das Problem der ausgezeichneten Folgen von Ordnungszahlen" by Heinz Bachmann. arXiv preprint arXiv:1903.04609 (2019).
- ↑ W. Buchholz. A survey on ordinal notations around the Bachmann–Howard ordinal. Feferman on Foundations. Springer, Cham, 2017. 71-100.
- ↑ W. Buchholz. A new system of proof-theoretic ordinal functions. Annals of Pure and Applied Logic (1986): 195-207.